5フォース分析とは?マーケティングフレームワークで自社を取り巻く競争要因を分析しよう

マーケティング

本シリーズでは、マーケティング担当になったら最低限知っておきたいフレームワークをピックアップし、実在する企業を題材にしてフレームワークの考え方をご紹介していきます。
第3弾は「5フォース分析」をピックアップします。

第1弾から順に読みたい方はこちらから▼
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第1弾:PEST分析
https://www.akebono-print.co.jp/2021/07/pest-analysis/

第2弾:3C分析
https://www.akebono-print.co.jp/2021/07/3c-analysis/
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今回取り上げる5フォース分析とは、

  1. 「売り手の交渉力」
  2. 「買い手の交渉力」
  3. 「競争企業間の敵対関係」
  4. 「新規参入業者の脅威」
  5. 「代替品の脅威」

の5つの要因を洗い出すフレームワークのこと。新商品やサービスを出す予定だが競合がいる、競合他社にシェアが及ばない、参入前に利益が得られるのか検討したい、といったシチュエーションで取り入れたい分析手法です。

5フォース分析を自社の事業戦略で用いる前に、本記事で取り上げる企業について一緒に考えてみましょう。

5フォース分析とは

5フォース分析とは、競争戦略論のマイケル・ポーターが提唱した業界分析手法です。

  1. 「売り手の交渉力」
  2. 「買い手の交渉力」
  3. 「業界内の競合の脅威」
  4. 「新規参入者の脅威」
  5. 「代替品の脅威」

の5つの要因からなり、5つの力が強いほどその業界の収益は低くなるといわれています。

5フォース分析は環境分析に該当します。
外部環境を把握することで、自社の置かれている現状や今後の脅威となるものを確認できます。
自社や競合の現状を知ることで、

 ・今後の起こる問題への対策
 ・どのような戦略を立てるべきか
 ・その市場に新規参入すべきか

といった判断材料を得られます。

5つの要素について

5つの要素の関係性は以下の図の通りです。各要素について詳しくみていきましょう。

売り手の脅威

「売り手の脅威」とは、材料などの仕入先が強い交渉力を持っている場合に、仕入れ価格が上がって利益が少なくなることを指します。
例えば、自動車メーカーと部品を製造する町工場は、まさにこの構図になっていると予想されます。

一方、売り手が独占技術を持っていたり寡占状態である場合には、買い手は高い価格を受け入れることになります。

買い手の脅威

買い手は「顧客やユーザー」にあたり、買い手の力が極めて強い場合、売り手は値引きを強く要求されてしまい、収益が上がらない状況に陥ります。

例えば、その業界を独占するような購買力を持った企業に販売する場合、一般的には大きな収益を上げることは難しいといわれています 。

買い手の脅威には、サービスを切り替える時に発生する金銭や手間などの負担を指す「スイッチングコスト」が大きく影響します。

スイッチングコストが高いほど乗り換えられる可能性も低くなるため、買い手の脅威の影響度は小さく済むといえます。

業界内の競合の脅威

既存の競合他社との競争を指し、この影響度合は自社と他社の企業規模によって大きく変動します。

同程度の規模の企業が競い合っている場合は競争が激しくなります。その結果、商品やサービスの差別化が難しくなり、利益を生み出しにくくなる可能性があります。

新規参入者の脅威

業界に競合他社が新規参入してくることに対する脅威です。

新規参入者が登場すると、飛躍的に業界内の売上が上がらない限りは競争が激しくなり、利益が減ることが予想されます。

最近の例でいうと、参入障壁の高い携帯電話業界に楽天が参入しましたが、急に携帯電話の利用者が増えることは考えにくく、単純に競争が加速したといえます。

新規参入者の脅威に対抗していくには、自社の業界内での影響力を高めていくことが不可欠です。
商品・サービスの差別化やコストパフォーマンスの見直しなど対策を講じていきましょう。

代替品の脅威

他の代替品で、既存の商品(サービス)のニーズを満たせるようになる脅威です。

医薬品業界を例にあげると、同じ効き目でより安価な「後発医薬品(ジェネリック医薬品)」の登場は、まさに既存の医薬品に対する脅威になっています。

このように代替品の方がコストパフォーマンスが良い場合、業界全体の利益が少なくなる可能性があります。
後発の代替品にはない機能性やデザイン性などの差別ポイントを追求していくことが重要です。

実在の企業に当てはめて分析してみる

では実際に実在の企業に当てはめて分析します。今回はイタリアンワイン&カフェレストランの「サイゼリヤ」をピックアップしてみました。

図にまとめるとこのようになりました。各要素を詳しくみていきましょう。

売り手の脅威

サイゼリヤは自ら商品開発~食材の生産~加工~配送までを一貫して行う「製造直販業」を目指しています。これがサイゼリヤのコストパフォーマンスの高さを作り出しているといえます。

基本的には自社で仕入れをコントロールできるため、売り手の脅威の影響はほとんどありませんが、しいて言えば食材以外の調理器具や厨房機器のみが挙げられます。

買い手の脅威

顧客がサイゼリヤ以外のイタリアンレストランを利用したい場合、「スイッチングコスト」は0円です。
そのため簡単に競合他社へ流れてしまう可能性もありますが、それは競合他社も同様のことがいえます。

また先ほど述べた「製造直販業」によって、サイゼリヤは「グラスワイン100円」のような圧倒的なコストパフォーマンスを実現しています。

これは同じイタリアンレストランの中でも「安くて美味しい」という差別化ポイントとなり、独自の地位を築いています。

業界内の競合の脅威

サイゼリヤの競合としてはラ・パウザ、洋麺屋 五右衛門、ピエトロ、カプリチョーザ、ポポラマーマなど多数のレストランが挙げられます。

しかしながら、サイゼリヤは先ほど述べた「安くて美味しい」という差別化ポイントや国内外1500店舗以上※という最大店舗数を誇るという点で、業界のリーディングカンパニーといえるでしょう。

参考:サイゼリヤ | 会社概要

新規参入者の脅威

ファミリーレストランという業界で考えると、すでに大手数社の独占状態であり、今後新たに大手が誕生することは考えにくいです。

ただし「イタリアン」という業界へと視点を変えると、パスタをはじめとして日本人にも馴染みの料理であるため、今後も新規参入は続くと予想されます。

いずれの業界でも、サイゼリヤは「圧倒的な安さと美味しさ」という点で個性を発揮しており、その地位を確立しているといえるでしょう。

代替品の脅威

昨今の「おうちごはん」需要も重なり、代替品はまさに「脅威」だといえます。

冷凍食品:日清フーズ「青の洞窟」、日清製粉「オーマイ」、日清「スパ王」「もちっと生パスタ」など
宅配:ドミノピザ、ピザハット、ピザーラなど
コンビニ:パスタ、イタリアンなおかずなど

パスタもピザも外食と同じくらいのクオリティで自宅で食べられます。新型ウイルスの影響で「おうちごはん」が主流になって1年以上が経つ今、冷凍食品や宅配の需要は伸びているといえます。

ただし、サイゼリヤのようにサラダやスープ、副菜といったアラカルトも含めた食事にするのは難しく、冷凍食品や宅配は「イタリアンが食べたい」という欲求を満たすほどではないと考えます。

サイゼリヤの立ち位置

5フォース分析を通してみえたサイゼリヤの立ち位置は

 ・製造直販業によって一貫して自社で製造することで「安くて美味しい」を実現している
 ・顧客にも「安くて美味しい」が根付いている
 ・国内外1500店舗以上を有する圧倒的なリーディングカンパニー

といえます。

また、「おうちじかん」が続く場合には冷凍食品や宅配が脅威として立ちはだかります。

まとめ:自社の5フォース分析にチャレンジしてみよう

実在する企業を取り上げて分析してみたので、フレームワークの使い方がよりイメージしやすかったのではないでしょうか。

本記事でインプットした内容をもとに、「売り手の交渉力」「買い手の交渉力」「業界内の競合の脅威」「新規参入者の脅威」「代替品の脅威」の5つの視点で自社のビジネスを分析をしてみましょう。

自社を取り巻く環境や今後脅威になるものを認識することで、先手で打ち手を考えられます。
ぜひ実践してみてください。

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