3C分析とは?マーケティングフレームワークで顧客・競合・自社を分析しよう

マーケティング

本シリーズでは、マーケティング担当になったら最低限知っておきたいフレームワークをピックアップし、実在する企業を題材にしてフレームワークの考え方をご紹介していきます。
第二弾は「3C分析」をピックアップします。

3C分析とは、「Customer(市場・顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」の3つの視点から分析を行い、自社の事業展開に関する課題を探し出すフレームワークのこと。

 ・新商品やサービスを出す予定だが競合がいる
 ・競合他社にシェアが及ばない
 ・商品やサービスのリニューアルに向けて分析したい

といったシチュエーションで取り入れたい分析手法です。

3C分析を自社の事業戦略で用いる前に、本記事で取り上げる企業について一緒に考えてみましょう。

第一弾から順に読みたい方はこちらから▼
https://www.akebono-print.co.jp/2021/07/pest-analysis/

3C分析とは

3C分析とは、マッキンゼーの経営コンサルタントだった大前研一氏が、自著The Mind of the Strategist(1982年)の中で提唱し、世界的にも広く知られるようになった日本発のフレームワークです。

マーケティング戦略を考える際、

 ・自社でのコントロールが難しい外部環境
 ・自社の内部環境

の両面から捉える必要があります。


その上で3C分析ではこの図にあるとおり、

 ・外部環境:「市場・顧客(Customer)」「競合(Competitor)」
 ・内部環境:「自社(Company)」

を分析対象としています。

 ・「Customer」:市場や顧客のニーズをつかむ
 ・「Competitor」:競合他社が市場のニーズにどのように対応しているかを把握する
 ・「Company」:市場や顧客、競合他社にどう向き合っていくかを見出す

この3つのCを基点に分析をすることで、自社サービス・商品の課題や伸びしろ、成功要因を導き出して事業の進むべき方向が見えるようになります。

マーケティング担当になったら“自社の3C”をすぐに答えられるのが理想でしょう。

“3つのC”の分析方法

Customer(市場・顧客)

近年のマーケティングはカスタマーファーストで進めるのが主流であること、そして市場・顧客を知らずして自社の評価はできないことから、まずは「Customer(市場・顧客)」の分析から始めます。

ビジネスの外部環境は、

 ・自社でのコントロールが難しいマクロ環境(外部)
 ・自社である程度コントロールできるミクロ環境(内部)

に二分されますが、市場・顧客の分析の中では双方に目を向ける必要があります。

マクロ環境の視点では、第一弾のマーケtips記事で取り上げた「PEST分析」を用いるのがおすすめです。

PEST分析とは、Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の4つの視点で分析するフレームワークです。
この方法で洗い出した要素が自社にとってどのような影響があるのかを認識し、予測される今後の世の中の動向やニーズに合わせて戦略を打っていくのが重要です。

一方ミクロ環境の視点では、5つの脅威を分析するファイブフォース分析を用いるのが近年主流になってきました 。この分析方法は特定の業界が自社のビジネスに及ぼす影響を分析するものです。

 1.新規参入者の脅威
 2.代替品の脅威
 3.買い手交渉力
 4.売り手交渉力
 5.既存競合他社

ファイブフォース分析は、既存事業から新規事業まで幅広く活用できるためマーケティング担当者は覚えておきたいフレームワークの一つです。
ファイブフォース分析の詳しい内容については、本記事のシリーズでも近々取り上げる予定です。

Competitor(競合)

つづいてのCompetitor(競合)の分析は、競合が市場の変化にどのように適応しているのかを知るのが目的で

 ・売上
 ・従業員数
 ・市場シェア
 ・競合商品(サービス)の強み・弱み

などを分析します。
その際、「結果」と「要因」の2軸で分析をするのが理想です。

上の図にあるように、「結果」と「要因」を分析する際のポイントはそれぞれ次の通りです。

 ・結果:数字の明らかな成果(売上や顧客数など)に着目する
 ・要因:上記の結果が出た背景や効率に着目する

分析した競合のビジネスが成功していた場合は、明るみになった「結果」と「要因」から優れた部分を自社のマーケティングに継続的に取り入れていきましょう。
これを「ベンチマーキング」といいます。

ベンチマーキングといえば、1980年代に深刻な経営不振に陥っていた米国ゼロックス社が倉庫業務を「L・L・ビーン」、請求回収業務を「アメリカン・エキスプレス」でベンチマーキングをしたことで、業務効率化・コスト削減ができたという有名な事例もあります。

Company(自社)

これまで外部環境についての分析をしてきたので、それらをベースに内部環境のCompany(自社)分析へ移ります。

内部環境の分析では「SWOT分析」を用いると効率的に分析を進められるので活用をおすすめします。
SWOT分析は企業内外の環境をStrength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の4つの観点から分析するもの。

 ・強みをどう活かすか
 ・弱みをどう改善するか

を洗い出せるため課題やリスクを認識でき、自社の成功要因(KSF=Key Success Factors)を導く重要な一歩になります。

3C分析事例

それでは実際に、ドトールコーヒーに当てはめて3C分析を行ってみます。
次の図のようにフレームを作り、まずは白枠内の内容を埋めてみましょう。
これまでご紹介した分析方法のアウトプットを兼ねて、お手元で簡単にこのフレームを書いて自由に記載してみてください。

……埋まったでしょうか?

筆者が考えた例はこちらです。同じ内容はありましたか?
あくまでも正解は1つではないので、ここでは修正不要です。

以下で詳しくみていきます。

顧客の分析

顧客層
 ・ブレンドだけでなくコーヒーの味にこだわる人が増加
 ・セルフサービスのカフェが増加
 ・カフェでwifiを利用しながら仕事をしたい人が増加
 ・自宅でもカフェを楽しみたい人が増加

顧客ニーズ
 ・ゆっくりお茶をしたい
 ・友人とお茶をしたい
 ・買い物・仕事の合間に休憩をしたい
 ・待ち合わせまでの時間をつぶしたい
 ・カフェでお腹いっぱい食べたい

競合の分析

2021年1月時点で店舗数はスターバックスコーヒーが1位、2位がドトールコーヒー、3位がコメダ珈琲です。

競合 A:スターバックスコーヒー

[強み]
 ・低価格帯〜高価格帯の中間のセルフサービスのカフェ
 ・家でも会社でもない「サードプレイス」という新しい価値の提供
 ・コーヒー豆へのこだわり
 ・バリエーション豊かなドリンクカスタマイズでユーザー要望に対応可
 ・おしゃれ
 ・ゆっくりできる空間
 ・公園や本屋の中にも併設

[弱み]
 ・庶民的ではない
 ・10~30代がボリュームゾーンのため、年齢層が上がるにつれて入りづらい
 ・注文が難しそう

競合 B:コメダ珈琲

[強み]
 ・フルサービス
 ・入りやすい
 ・レンガ調の店内で落ち着く
 ・フードが美味しく、ボリューミー
 ・飲み物を頼むと豆菓子がついてくる

[弱み]
 ・高価格帯
 ・利用客の年齢層が高め
 ・フルサービスのため従業員教育に時間とコストがかかる
 ・回転率が低い

自社の分析

[強み]
 ・低価格帯
 ・入りやすい
 ・出来立てのフードが食べられる
 ・20~60代まで幅広く利用している
 ・回転率が高い

[弱み]
 ・フードに力を入れているため原価率が高め=その分利益も少ない
 ・白を基調にした店舗が多く長時間くつろぎやすい空間ではない

<この分析から言えること>

 ・低価格帯かつできたてのフードが食べられるのがドトールコーヒーの強み
 ・競合2社と比べても幅広い年齢層に親しまれている
 ・スターバックスコーヒーとコメダ珈琲のちょうど中間的な立ち位置か

このように分析をしてみると同じカフェでもそれぞれの特徴や強み弱みがあり、それぞれに少しずつ異なる顧客層が利用しているというのが分かりました。
自社の強みを引き続き活かしながらも、競合他社の成功要因をヒントに継続して成長していくアクションが重要になります。

3C分析は自社の進むべき道を明確化できる便利なツールなので、ふとした時にすぐに使える状態にしておきましょう。

まとめ:自社の3C分析にチャレンジしてみましょう

実在する企業を取り上げて分析してみたので、フレームワークの使い方がよりイメージしやすかったのではないでしょうか。
本記事でインプットした内容をもとに、「Customer(市場顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」3つの視点で自社のビジネスを分析をしてみましょう。

インプット(読む)だけでは定着率は10%、一方アウトプットとして実践をすると学習の定着率が75%と7倍以上UPすると言われています。
ぜひ実践をして定着させていきましょう。

「マーケ担当になったら知っておきたいマーケティングフレームワーク」第三弾では、「5フォース分析」をピックアップします。お楽しみに!


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